歯周病について
歯周病について

歯周病とは
歯周病は細菌感染症です。一番の原因は歯垢(プラーク)つまりバイオフィルムです。歯垢1mgの中には1億個以上の細菌がいると言われています。常在菌の全てが悪さをする菌ではなく、健康な状態の時はその均衡を保っています。歯と歯茎の境目に繁殖する細菌に感染し、細菌が増殖したり、免疫が低下したりした時に細菌の活動が活発になり、歯周組織に炎症が起き始めます。
歯肉炎、歯周炎とも呼ばれています。歯垢(プラーク)は時間が経つと歯磨きでは取り除くことができない歯石になります。歯石自体は歯周病の原因ではありませんが、歯磨きでは除去できないため、周囲のプラークの除去を困難にします。専門的な治療が必要になるケースがあります。
悪化させる要因に歯石、歯並び、噛み合わせ、適合の悪い補綴物、喫煙、全身疾患(特に糖尿病)、ホルモンバランス、薬の影響があります。
歯周病は治るのか
歯周病の進行度合によっても変わってきます。
炎症が歯茎に限局している場合の歯肉炎であれば歯科でのクリーニングと正しいブラッシングをすることで1~2週間ほどで治すことができます。
進行した歯周炎の場合は厳密に言うと「治る」とは言えません。歯周病になる前の元の組織に戻すことは難しいですが、麻酔をして深い歯周ポケットの中の歯石を丁寧に取り除くことで炎症を抑えて健康な状態を維持していくことは可能です。(2~3か月)

歯周病はうつるのか
歯周病は細菌感染症です。唾液を介して細菌は感染します。
ただし、普段から定期的に歯科でのクリーニングを受けてセルフケアを正しくしている健康な歯茎の場合、感染を起こしても発症を抑えることができます。

噛むことが難しい方へ

「最近、なんだか噛むのが難しい…」
そう感じることが増えてきた場合、その原因のひとつとして 歯周病 が関係している可能性があります。
実は「噛めない」「噛みにくい」という症状の裏には、さまざまな理由が隠れています。代表的なものは以下の3つです。
- 歯周病で歯がグラグラしている
- 虫歯で痛くて噛めない
- 噛み合わせのバランスが悪くて噛みづらい
これらの原因に対しては、それぞれ適切な治療を行うことで、再びしっかり噛める状態を目指すことができます。
歯周病が原因の場合
歯周病が進行すると、歯を支える骨が弱くなり、歯が揺れて噛みにくさが出てしまいます。
当院では以下のような治療を行います。
歯周治療(歯石除去・クリーニング)
歯ぐきの炎症を取り除き、歯周病の進行を食い止めます。
歯周外科治療
深い歯周ポケットの奥に潜む汚れを除去し、歯ぐきの状態を改善します。
抜歯
重度で保存が難しい場合は、周囲の歯を守るために抜歯を検討することがあります。
そもそも、
なぜ歯周病になると歯がグラグラするのか
歯周病が進行すると、炎症が歯を支える骨まで波及し、骨が溶けて歯がグラグラと揺れます。
自覚症状が現れる頃には重度歯周病になっていることが多く、治療が困難となります。場合によって抜歯をしなくてはならないことがあります。
虫歯が原因の場合
虫歯が神経に近い部分まで進むと、噛んだときに強い痛みが出ます。
虫歯部分を取り除き、詰め物や被せ物で元の形と機能を回復します。
噛み合わせが原因の場合
歯の高さや位置がわずかにずれるだけでも、噛みづらさを感じたり、一部の歯だけに負担が集中したりします。
噛み合わせの調整、歯列矯正で改善を図ります。
歯周病の症状段階別の
特徴
歯肉炎
(歯周ポケットの深さ1〜2mm)
歯茎のみに炎症を引き起こしている状態です。
痛みといった自覚症状はほとんどありませんが、歯磨きの時や硬いものを食べた時に出血しやすくなる場合があります。

軽度歯周炎
(歯周ポケットの深さ3〜4mm)
歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け出した状態です。
歯磨きの時に出血したり、歯がうずく、歯茎が腫れぼったく感じるなどの症状があらわれます。しかし一般的な初期段階では、まだ無症状なことが多く注意が必要です。

中等度歯周炎
(歯周ポケットの深さ5~7mm)
歯を支えている歯槽骨が1/3~2/3ほど溶けた状態です。
水がしみるようになったり、歯磨きをすると歯茎から血が出たり、歯茎が腫れたり治ったりの症状を繰り返します。また、歯がぐらぐらと動揺しはじめ、膿が出たり口臭が強くなる場合もあります。

重度歯周炎
(歯周ポケットの深さ7mm以上)
歯を支えている歯槽骨が2/3以上溶けた状態です。
歯の周りを指で押すと白い膿がにじみ出て、口臭が強くなる場合もあります。歯磨きの際には頻繁に出血するようになり、歯が動揺して硬いものが噛みにくくなることがあります。放置してしまうと、歯が自然と抜け落ちるケースもあります。

歯周病の症状について

健康な歯茎
健康な歯茎とは以下のような状態です。
- 色はピンク
- 歯茎からの出血がない
- 引き締まっており歯間乳頭(歯と歯の間)
を三角に埋めている
侵襲性歯周炎
若年層も発症しやすく、進行が速いことが特徴。
遺伝的要因、免疫反応の異常、ホルモンバランス(ストレス)、清掃不良が原因。
症状は一般的な慢性歯周炎とほとんど同じ。歯肉の出血・腫れ。歯肉退縮。歯
の動揺。口臭。
治療法
- セルフケアとプロフェッショナルケア
(歯石取り、クリーニング) - 投薬
インプラント周囲炎
インプラント周囲の歯茎や骨が炎症を起こしている状態です。
インプラントは人工歯根のため、天然の歯に比べて抵抗力が弱く、一度炎症を進行速度も速いため注意が必要です。
初期の段階では炎症はインプラント周囲の歯茎に限局している状態です。
歯茎が赤い、腫れ、出血の初期症状を見逃さないようにしましょう。
そこから進行し、炎症がインプラントを支える骨まで波及すると、膿が出たり、違和感・痛みが生じたりしてきます。
インプラントがグラグラと動き撤去する必要や脱落の恐れが起こります。
治療法
- 周囲の歯石、歯垢の除去。
ポケット内洗浄。 - 抗生剤の服用
口臭
歯周病の方は特有の臭いがあります。よく例えられるのが「腐った卵」や「生
ごみです」。
深い歯周ポケットには成熟した細菌が溜まり増殖することで、悪臭の原因とな
ります。
治療法
- セルフケアとプロフェッショナルケア
(歯石取り・PMTC)
歯茎の腫れ・痛み・出血
歯茎の腫れ・出血は歯周病の初期症状の代表的なものです。
ただし、他にも虫歯(根尖性歯周炎)、親知らずによる腫れ(智歯周囲炎)、歯の根が折れる(歯根破折)、歯肉のガンなどの可能性があります。
いずれの場合も放置していても悪化してしまうため、痛みがないからと受診を後回しにせず、歯科医師に確認してもらいましょう。
治療法
- セルフケアとプロフェッショナルケア
(歯石取り・PMTC)
歯茎が下がる・痩せる
専門用語で「歯肉退縮」といいます。
歯周病が進行すると、歯を支える周りの骨が溶けて歯茎も痩せて、根が露出します。
歯肉退縮のその他の原因
- ブラッシング圧が強い
- 歯ぎしり、食いしばりがある
- 加齢
- 歯列矯正
喫煙と歯周病の関係性

喫煙者は歯周病が進行しやすく、治療しても治りにくいです。
タバコに含まれるニコチンの影響により血管収縮することで、歯茎は酸欠・栄養不足の状態になります。
炎症を起こしても歯周病の初期症状である出血が隠されてしまい、気づかないうちに進行していきます。さらに身体の免疫担当細胞の働きを低下させるため、歯周治療を頑張っても術後の経過が悪いのです。
禁煙から数日~数週間で歯肉の血流が正常に戻っていくと言われていますので
喫煙者の方はいち早くタバコを止めることをお勧めします。
歯を抜いた方、
抜けたままの方へ

欠損した部位の修復方法としては
インプラント
ブリッジ
義歯
があります。
骨の量、前後の歯の状態、全身疾患の有無や生活背景により最適な治療が変わ
がります。
治療ができない場合
インプラント
インプラント体を埋め込むための顎の骨の厚みや高さが足りない場合。糖尿病・透析治療中など免疫力が低下している場合、感染症や術後の経過不良のリスクが伴います。高血圧や服用中の薬、喫煙によっては手術のリスクが高くインプラント手術ができないことがあります。
ブリッジ
失った歯の両隣に歯がない、もしくは歯周病や虫歯が進行しており支えにするには不十分の場合。
義歯
嘔吐反射が強い、入れ歯の異物感に慣れない方。
歯を抜かずに治療する
メリット・デメリット
メリット
天然の歯を残すことは、噛む力や感覚を自然な状態で維持できるという大きなメリットがあります。ご自身の歯でしっかりと噛めることで、食生活の質が保たれるだけでなく、咀嚼機能が維持されることで胃腸への負担軽減や全身の健康管理にも役立ちます。
デメリット
放置された歯周病は、問題のある歯だけにとどまらず、周囲の健康な歯を支える骨にまで炎症が広がってしまう危険性があります。
その結果、痛みや腫れといった急性炎症が起こりやすくなり、さらに歯が揺れて噛みにくくなるため、痛みをかばいながら食事をするようになってしまいます。
また、歯周病はお口の中だけの問題ではありません。
近年、歯周病と全身疾患との関係が強く指摘されており、歯周病を放置することで以下のような病気のリスクが高まることが報告されています。
- 糖尿病
- 肺炎
- 脳血管疾患
- 狭心症
- 心筋梗塞
- 脳卒中
- 早産
- アルツハイマー型認知症…など
このように、歯周病を「抜かずにそのまま放置する」ことは、お口だけでなく全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
気になる症状がある場合は、早めに診査・治療を受けていただくことをおすすめいたします。
妊娠・妊婦と歯周病

リスク、胎児への悪影響について
妊婦さんが歯周病を放置してしまうと胎児に悪影響を与える恐れがあります。
低体重児・早産のリスクが7倍。(これはタバコ・アルコール・高齢出産よりもはるかに高い数字です)
歯周病菌が原因
歯周病原菌も様々な種類がある中で、妊娠中出産後に多く分泌される女性ホルモン「エストロゲン」「プロゲステロン」を栄養源とする歯周病菌がいます。
悪阻
悪阻がひどいと歯磨きが不十分になりがち。食べ悪阻がある方は常に清掃不良の状態になってしまう。
歯周病セルフチェック
歯茎が赤い?
歯茎が痩せてきた?
歯磨きをすると歯茎から血が出る?
歯と歯の間の歯茎が腫れて丸くなっている?
物がつまりやすい?
口臭がある?
口の中がネバネバする?
歯が浮いている感じがする?
歯磨きによる
予防について

歯磨きの効果
歯周病治療、予防に対してセルフケア(歯磨き)は欠かせません。365日行う毎日の歯磨きが何より大切です。そのうえで、落としきれない汚れ、リスクの高い部分の歯石取り・クリーニングは歯科衛生士にお任せください。
歯磨きの必要性
様々な種類の細菌が集まったプラーク(歯垢)は膜を作り、強固に歯に付着しています。これはマウスウォッシュなどの薬用成分が浸透しにくく、うがいをしただけでは除去できません。
そのため歯ブラシやフロス等で機械的に除去する必要があります。
おすすめの歯ブラシ
毛の硬さ
| やわらかめ | 歯茎に 炎症がある方。 |
| ふつう | 歯茎に炎症がない方。効率よく汚れを落とせる。 |
| かため | 歯茎・歯を傷つけやすいため、基本的におすすめしない。 |
ヘッドの大きさ
| ふつう | 1cm×2cm 程度。手を細かく動かすのが苦手。歯磨きに時間をかけられないことが多い。 |
| 小さめ | 歯並びが悪く歯が重なっている箇所がある。ふつうのサイズだと1番奥の歯まで届かない人。 |
毛先
| ラウンド毛 | 虫歯予防 |
| テーパード毛 (細い) | 歯周病予防 |
歯周病に効く歯磨き粉
システマ ハグキプラス EX
ビタミン E、トラネキサム酸、IPMP により歯周病を予防。
フッ素 1450ppm 配合で虫歯予防も。低研磨性。
システマ SP-T ジェル
殺菌成分 IPMP と歯茎の防御力を上げるビタミン E 配合。粘性が高いので、歯周ポケットに薬用成分が長くとどまる。
フッ素1450ppm 配合のため虫歯予防も。研磨剤無配合。
コンクールジェルコート F
塩酸クロルヘキシジンが歯周病予防に効果的。
フッ素 1450ppm 配合のため虫歯予防も。歯の着色を浮かせて落とすポリリン酸ナトリウムも入っています。研磨剤無配合。
費用について

保険治療の場合
検査内容・検査方法
レントゲン検査、歯周ポケット測定、歯垢の付着チェック、歯の動揺度など
治療方法
歯磨き指導、超音波スケーラー・手用スケーラーを用いた歯石取り、歯周外科治療
治療期間
歯周病の進行度や歯石の付着状態によって異なります。以下の期間は目安になります。歯周病治療は再発をしやすいので治療終了時から定期的なメインテナンスが必要不可欠になります。
| 軽度歯周病 | 2〜3週間 |
| 中等度歯周病 | 2ヶ月 |
| 重度歯周病 | 2〜3ヶ月 |
費用感
まず病状を正確に知るためのレントゲン検査、歯周ポケット測定等の検査が必要になります。
| 3,000 円前後 |
歯肉炎(軽度)の場合歯石取りを行います。
| 1,000 円前後 |
歯周炎(中等度~重度)では歯周ポケットの深い部分の歯石取りを行います。
| 2,000~8,000 円 処置を行う歯の本数でも変わります |
骨の吸収が多い場合は外科的な治療を行い失われた骨の再生や下がった歯茎を
移植により改善することもできます。
| 保険外治療になる場合もあります |